ブリザードは『ワールド オブ ウォークラフト』向けに画期的だが賛否両論を呼びそうな新システムを開発中だ。これは最適なスペルローテーションを提案するゲーム内戦闘アシスタントで、自動発動モードもオプションで選択可能。ゲームディレクターのアイオン・ハジコスタスは、WoWのアクセシビリティとUIデザインの進化に関する詳細インタビューでこの「ローテーションアシスト」機能を明らかにした。
戦闘アクセシビリティの革命
ローテーションアシストシステムは、ブリザードがこれまでに開発した中で最も野心的なゲーム内ガイドツールだ。有効にすると、スペシャライゼーションと戦況に基づいて推奨アビリティを動的にハイライト表示する。より議論を呼ぶ「ワンボタン」モードでは、わずかなグローバルクールダウンペナルティ(手動操作の優位性を維持するため)が課されるものの、単一キー操作で提案されたスペルを自動的に実行できる。
ハジコスタスはこの施策について、「競技層と初心者の間のギャップを埋めることが目的」と説明。「ハイエンドゲームプレイを維持しつつ、スキルの底上げを図りたい。誰かが上達方法を尋ねた時に『アドオンをダウンロードしろ』と言わなくても済むようにしたい」と語った。
アドオン問題への対応
この機能は、Hekiliなどのサードパーティ製ツールへの依存度が高まっている現状に対する直接的な解決策だ。「アドオンは我々のデザイン哲学に想定以上に影響を与えてきた」とハジコスタスは認め、一部のレイド攻略には事実上WeakAurasが必要だったことを明言した。
自動化と技術のバランス
自動モードは意図的に手動操作より性能を落としているが、戦闘最適化に重点を置かないプレイヤーにとってのアクセシビリティ確保に貢献する。ハジコスタスは「複雑なローテーション習得を好まないプレイヤーもいる」と強調し、「挑戦を求める層にはそれを維持しつつ、異なるプレイスタイルを尊重したい」とドラゴンフライトの哲学に沿った設計だと説明した。
このシステムはタレント選択や戦況(単体目標対範囲攻撃)に知的に適応するが、ハジコスタスは「エリートプレイヤーの繊細な最適化には及ばない」と認めた。「これは確固たる基準線を築くためのもので、高レベルプレイを置き換えるものではない」と彼は明確にした。
アドオンと遭遇戦デザインの未来
ローテーションアシストはWoWのUI哲学におけるより広範な変化の先駆けだ。ブリザードは、特定の戦闘自動化機能を制限する前に、コアアドオン機能を段階的にネイティブ実装する予定だ。ただしハジコスタスは、制限対象は競技優位性に絞られ、カスタマイズやアクセシビリティツールは保護されると強調した。
「アドオン作者を締め出そうというわけではないが、サードパーティツールが遭遇戦デザインを歪めてきた事実は無視できない」とハジコスタスは述べ、アドオン自動化を回避するため現代レイドが「渦巻く地面効果」に過度に依存している現状を指摘。「長期的にはレイドメカニックの多様性を取り戻したい」と語った。
11.1.7アップデートはこの数年がかりの取り組みの始まりに過ぎず、ネイティブのダメージメーターやボスモッド機能も順次実装される見込み。WoWが20周年を迎える中、これらの変更は同作発売以来最も重要なUI哲学の再考を示している。